挙式スタイルを決める

投稿者: | 2017年8月4日

結婚式は、宗教の儀式にのっとって行う式と、人前式とに分けられます。宗教による式には、「キリスト教式」「神前式」「仏前式」があり、「人前式」は列席者を証人として、皆の前で夫婦の誓いをします。それぞれの儀式の内容や意味を知り、自分たちにふさわしい挙式スタイルを選ぶようにしましょう。現在、キリスト教式で行うカップルが半数以上を占めていますが、人前式や神前式も人気が高く、和婚が注目されるなか、仏前式への関心も高まっています。

◆基礎知識

<キリスト教式>
●キリスト教式について
キリスト教式の結婚式は、チャーチ(教会)またはチャペル(礼拝堂)で行う。ホテルや専門式場もチャペルを設けているところが多い。宗派としてはカトリックとプロテスタントがあり、カトリックは神父、プロテスタントは牧師が式を執り行う。
○カトリックの場合
カトリックは本来、ふたりのうちどちらかが信者でないと挙式できないとされているが、日本においては教会で一定期間の「結婚講座」を受けることで挙式できる場合もある。カトリックは、結婚を人類の繁栄の為に神の定めた人間の義務であるとし、教会の行事の一つに数えられている。そのためミサの聖祭が厳粛に行われ、厳かな結婚式となる。
○プロテスタントの場合
信者でなくとも、礼拝や「結婚講座」に参加し、教えを深く受け止める事によって挙式を行えることが多い。プロテスタントの結婚式はふたりの愛情によって成りたつものであり、それは神の祝福を受けるものでなければならないと考えられている。

●キリスト教式の進行例

参列者・牧師・新郎入場
参列者に続き、牧師と新郎が入場する

新婦・新婦父入場
新婦が父親とともに入場し、新郎の元へ。新郎新婦はともに祭壇の前へ。

讃美歌合唱
全員が起立をして、賛美歌を歌う。

聖書朗読・説教
牧師が聖書の中から結婚にふさわしい教えを朗読。神の教えと結婚の意義を説く。

誓約
牧師の問いかけに答える形で、新郎、新婦の順に結婚の誓約をする。

結婚指輪の交換
新郎から新婦、新婦から新郎の順に、相手の薬指に指輪をはめる。

誓いのキス
新郎新婦が向き合い、新郎が新婦のベールを上げて、誓いのキスをする。

結婚宣言
牧師が、神の名のもとに、ふたりの結婚が成立したことを宣言する。

結婚証明書署名
新郎、新婦の順に結婚証明書に署名。続いて牧師が証人として署名する。

讃美歌合唱
再び全員が起立して賛美歌を歌う。

祝祷
牧師がふたりに祝福があるよう祈りを捧げる。

新郎新婦退場
新郎新婦が腕を組み、バージンロードを退場する。

<神前式>
●神前式について
日本に伝わる神道にのっとって行われる結婚式。現在のような神前式は、大正天皇の婚儀が行われた明治33年以降、一般の人も神社で挙式をするようになったことから広がった。今では神社の神殿のほか、ホテルや専門式場に設けられた神殿でも広く執り行われている。白無垢へのあこがれや親の希望等があり、根強い人気がある。最近では、白無垢や打掛けに加え、引き振り袖に自由な髪型で挙式をするなど多様化。ウェディングドレスを着て行うケースもある。

●神前式の席次
神前に向かって右に新郎側親族、左に新婦側親族。血縁関係の強い順に

●神前式の進行例

参進の儀
雅楽の調べのなか、巫女に先導され、新郎新婦が神殿へ。赤い番傘が雅な雰囲気を高める。

修祓
修祓とはおはらいのこと。新郎新婦と参列者は起立したおはらいを受け、身を清める。

祝詞奏上
斎主(神職)が神殿にふたりの結婚を報告し、新たな門出を祝うための祝詞を奏上する。

三献の儀
一般に「三三九度」と呼ばれる。小・中・大の杯で新郎新婦が交互に3口でお神酒を飲む。

指輪交換
新郎新婦が指輪を交換する。従来の神前式にはなかったが近年は行われることが多い。

誓詞奏上
新郎が永遠の契りと子孫繁栄を誓う誓詞を読み上げ、新郎新婦がそれぞれの名前をいう。

玉串拝礼
新郎新婦が巫女から受け取った玉串(榊の枝に和紙をつけたもの)を神前に捧げる。

親族杯の儀
親族の契りを交わす儀式。巫女が親族の杯にお神酒を注ぎ、一同が起立して飲む。

斎主挨拶
斎主(神職)がふたりの婚礼が整ったことを祝福して、お祝いの言葉を述べる。

新郎・新婦退出
一同神前に拝礼した後、斎主(神職)、巫女の先導で、新郎新婦から順に退場する。

<人前式結婚式>
●人前式について
家族や親族、友人など、ふたりの大切な人たちに結婚の誓いを立てるのが人前式。宗教や形式にとらわれず、ふたりらしい挙式を創ることができるため、人気が高まっている。結婚式場のほか美術館や水族館などさまざまな場所で執り行うことができる。

●人前式の進行例

立会人入場
ふたりの結婚の誓いを見守る親族や友人などの立会人が、先に入場して着席。

開会宣言
立会人代表または司会者がふたりの結婚式が行われることを説明し、開会を宣言。

新郎新婦入場
新郎新婦が一緒に入場するほか、新婦が父親や母親のエスコートで入場するスタイルも。

誓いの言葉
ふたりで、結婚の誓いの言葉を立会人に向かって読み上げ、最後にそれぞれ名前を名乗る。

指輪交換
新郎が新婦の薬指へ、新婦が新郎の薬指へ、指輪をはめる。立会人に指輪を披露する。

結婚証明書署名
婚姻届、または結婚証明書に新郎新婦それぞれが署名・捺印。立会人代表も署名する。

結婚承認宣言
立会人代表が婚姻届または結婚証明書を披露し、結婚がととのったことを宣言する。

承認の拍手
参列者する親族や友人など(立会人)が、ふたりの結婚を承認し、拍手をする。

閉会宣言
立会人代表または司会者が、結婚式がとどこおりなく行われたことを告げ、閉会を宣言。

新郎新婦退場
拍手で祝福されながら新郎新婦が退場。続いて親族や友人などのゲストが退場する。

<仏前結婚式>
●仏前式について
由緒ある寺院や実家の菩提寺などで行う「仏前式」は、今、注目度が高まっている挙式スタイル。式の内容や進行は宗派により多少異なるが、ご本尊と先祖に結婚を報告し、仏のご加護を祈ることに変わりはない。厳粛な雰囲気に包まれた寺院での挙式は、ふたりにも参列者にも深い感動を与える。

●仏前式の進行例

入堂
新郎方の両親と親族、新婦方の両親と親族に続き、新郎新婦、戒師(司婚僧)が入堂する。

敬白文朗読
戒師がご本尊に「ふたりが夫婦の契りを誓う」旨を報告する敬白文を読み上げる。

念珠授与
新郎新婦が戒師の前に進み、向かい合って着席。戒師はふたりに念珠(数珠)を授ける。

司婚の辞
新郎新婦がご本尊の前で結婚を誓い、戒師が参列者に婚儀の成立を認める司婚の辞を朗読。

焼香
新郎新婦が左手に念珠を下げて、順に右手で焼香して合掌礼拝をする。

誓杯
三三九度に当たるもの。仏前式では一の杯は新婦、二の杯は新郎、三の杯は新婦から飲む。↓
親族固めの杯
両家の絆を固めるという意味を込め、用意してある杯で、参列者全員が祝杯をあげる。

法話
戒師が仏教における結婚の意味を説き、新郎新婦にお祝いと励ましの言葉を述べる。

退堂
戒師がまず退堂し、続いて新郎新婦、参列者一同の順に退堂する。

<ポイント>
●「このスタイルで」というこだわりがある場合も、ふたりだけで決めずに、親の意見もヒアリングしたうえで判断を。
●衣裳や雰囲気だけで判断せず、儀式の持つ意味なども把握したうえで決定を。当日の感動もさらに増すはずです。